生ごみを処理してくれる魔法のような「キエーロ」。
コンポストとの違いが分からない人や、始め方が分からない人も多いのではないでしょうか。
・大きな庭や畑がなくてもできるの?
・虫が来るのでは?
・忙しくてもできるの?
コンポストと聞くと、ハードルが高くなかなか一歩を踏み出せない方もいると思います。
実はキエーロはとっても簡単!毎日のメンテナンスもほぼ不要なため、初心者におすすめなんです。
本記事ではマンション暮らし、ベランダでキエーロ歴1.5年のずぼらな私が初心者にもわかりやすくキエーロについて徹底解説します。
キエーロとコンポストの違い
コンポストとは、土中の微生物やバクテリアの力で生ごみを分解していく仕組みのこと。
キエーロもコンポストの一種です。
コンポストの特徴
コンポストは生ごみを密閉された容器の中で発酵させ、熟成させることで堆肥に変えていくという特徴があります。
生ごみをある程度投入し終えた後は、2-3か月の熟成期間が必要です。
コンポストにはさまざまな種類があり、屋外のみならず屋内で使えるものもあります。
種類が豊富なので、自分に合ったコンポストを選ぶことができます。
✔生ごみを発酵・熟成させて堆肥に変える
✔堆肥ができるので、畑や家庭菜園をしている人におすすめ
✔熟成期間は新たな生ごみを投入できない
✔選択肢が豊富
キエーロの特徴
一方キエーロは、生ごみはそのまま微生物の養分になるため堆肥はできず、土は増えません。
生ごみの分解にかかる時間は夏場でおよそ5日、冬場で2週間程度です。
必要なものは容器と黒土、必要な場合は蓋のみ。
容器も特別なものは必要なく、プランターやプラスチックの衣装ケース、段ボール等用意しやすいもので始められます。
熟成などのメンテナンスが不要なため、初心者でも簡単に始められます。
キエーロの特徴まとめ
✔初期費用が安く、維持費もかからない
✔土が増えないので、頻繁なメンテナンスは不要
✔生ごみが分解されるのは夏場で5日、冬場で2週間程度
✔必要なものは容器と黒土のみ。
ベランダでも始められるキエーロの作り方
設置条件
キエーロは日当たりがよく、風通しのよい場所に設置しましょう。
太陽の光を当てるとキエーロ内の温度が上がり、微生物の動きが活性化するためです。
また、土が濡れないようになるべく雨の当たらない場所がいいでしょう。
雨に濡れてしまいそうな場合は、蓋をつけます。
キエーロに必要な道具
容器
容器はプランター、プラスチックケース、段ボールなど、なんでもいいです。
我が家ではリンゴ屋からリンゴ箱を譲ってもらいました。
土
ホームセンターで容器に合う量の黒土を用意します。
14Lの大きさで数百円で購入できます。
黒土以外の土でも、消毒をしておらずバクテリアがいる土であれば大丈夫です。
(バクテリアの量が多いほうが生ごみの分解が進むため、黒土や畑の土がおすすめ)
スコップ
土を混ぜるためのスコップを用意します。
蓋
雨がキエーロにかかる可能性がある場合は、蓋を用意します。
我が家ではホームセンターで
・ポリカ波板(雨が入らないよう容器より少し大きめの大きさに切る)
・木材
を購入しました。
キエーロは完全に密封せず、風通しを良くする必要があります。
そのためポリカ羽板の片方に木材を付け、高低差を出すことで風が通るようにします。
キエーロの使い方
①生ごみを適当な容器に入れておく
我が家では味噌が入っていた入れ物やお肉が入っていたトレー等、その時にあるもので済ませます。
ステンレスやホーローの容器があれば、臭い移りしにくくおすすめ。
コバエがくる可能性があるので蓋つきだと尚よいです。
②キエーロに生ごみを投入する
生ごみは分解に時間がかかるため、(夏場で5日程度、冬場で2週間程度)キエーロを数か所に分けて生ごみを入れる場所を毎回変えていきます。
(1)20cmほど土を掘る
(2)300g程度の生ごみを投入する
この時生ごみの水分も一緒に入れてしまって大丈夫です。
泥団子を作れる程度の水分量に抑えてください。
(3)上から土を被せる
虫が来ないよう、生ごみの上から土をしっかり被せます。
表面にゴミが出ていると虫が来る原因になります。
(4)翌日埋める場所がわかるよう目印としてスコップをさしておく
これで完了です!
キエーロに入れていいものと入れられないもの
入れていいもの
✔野菜くず
✔果物の皮や芯
✔コーヒーかす
✔卵の殻(分解は遅め)
✔使用済み油
✔ご飯の残り物
入れられないもの
✔肉や魚の骨
✔アボカドなど大きすぎる種
✔食品以外のもの(プラスチック製品や化学薬品など)
キエーロのメリット・デメリットと成功の秘訣
メリット
燃えるごみを出す頻度が減る
我が家ではごみ袋のサイズが小さくなったことに加え、ゴミ出しも週に2回→1回未満に減りました。
生ごみがないので、臭ったり虫がわいたりすることもありません。
夏場は特に嫌な臭いがしないので、ゴミ出しがストレスフリーになりました。
無駄なごみが減る
キエーロは生ごみを入れすぎてしまうと、分解が追い付かず臭いや虫の原因になります。
キエーロの様子を見ながら生ごみを投入していくため、なるべくごみを減らそうという意識が上がります。
食べれそうな野菜は皮つきで食べたり、腐らせないように意識する等、我が家ではごみのむだが減りました。
また、自分の家で出る生ごみの量を可視化できるのもキエーロならでは。
ゴミ箱にそのまま捨てているときは気にしていませんでした。
子どもと楽しめる
我が家では容器にたまっている生ごみを見ると、5歳の長男が「コンポストに入れるわ。」と率先して行動してくれます。
長男には「土でできた食べ物は土に還そうね」という風に話しています。
ごみを捨てずに、土に還すことが当たり前として育つ長男。こんな子どもが増えたらどれだけ地球にやさしい世界になるだろうと想像しています。
土いじりが楽しい
始めはローメンテナンスに魅かれて始めたキエーロですが、気づけば毎日様子を窺うように。
「土はどんな状態かな?」「虫が来てないかな?」「分解の具合はどうかな?」
と考えながら土を触る時間は忙しい毎日の癒しの時間になります。
デメリット
設置場所の確保や移動が難しい
大きいキエーロを作る場合は、設置場所の確保や移動が困難です。
キエーロに必要なのは日光が当たり風通しの良い場所。
設置場所を決める場合は慎重に行いましょう。
また引っ越しの可能性がある場合は、持ち運びしやすいように小さめの容器に分けてキエーロを作ることをおすすめします。
土をいい状態に保つためのメンテナンスが必要
キエーロ内の土を良い状態に保つためには、ある程度のメンテナンスも必要です。
土が乾きすぎている場合:水を入れて土を湿らす
土が濡れすぎている場合:落ち葉等をいれて湿度を調整する、日光に当てる
以上の工夫をすることで、キエーロを良い状態に保つことができます。
生ごみを投入しすぎると悪臭や虫が来る原因になる
生ごみの分解が追い付かず、キエーロ内に生ごみがたまってしまうと、悪臭や虫が来る原因になってしまいます。
キエーロ内の分解具合を見ながら投入する量や頻度を調整しましょう。
成功の秘訣
虫がわかないための対策
生ごみの上には、必ず乾いた土を被せましょう。
虫は土から出ている生ごみに反応してやってきます。キエーロの容量に対して生ごみを入れすぎてしまった場合、土からゴミが出てしまいます。
キエーロが分解でき、土で隠れる適量を投入することがコツです。
虫が来てしまった時の対策
それでも虫がきてしまったらどうすればいいでしょうか。
害がなければ、ゴミを食べてくれる「益虫」とも捉えられます。
しかし、虫が来ると困る方は以下の対策を試してみてください。
・熱湯をかける
・ハッカ油を数滴垂らす(数日続けると効果的)
・柑橘類の皮を細かく刻んで入れる
・ゴキブリ対策にはクローブの精油が効果的
・大量発生した場合はゴミ袋に詰めて数日日光に当てる
生ごみの分解を進めるためにできること
生ごみの分解を助けてあげれば、より高い頻度でごみを投入していくことができるようになります。
分解を促進するために出来る工夫例をいくつか挙げます。
・生ごみを小さく切り刻んで投入する(面倒な場合は、スコップで混ぜる時に潰してもよい)
・生ごみ投入時にお米のとぎ汁や米ぬかを入れる
・生ごみ投入時に土とよく混ぜてなじませる
・日光に当てる、定期的に土をかき混ぜるなどしてキエーロ内の温度を上げる
・土が乾燥しすぎている場合は、湿度をあげるために水を入れて調整する
・ごみを冷凍してから投入する
頑張りすぎない
大切なのは、のんびりでも長く続けていくこと。
出るごみを毎回必ず投入しなくても大丈夫。自分のキエーロに出来る範囲で、無理なく使っていけば十分です。
自分にできる範囲でOK!自分だけのキエーロに挑戦してみよう
初心者から始めるキエーロについてお話ししましたが、一番大切なのは「とにかくやってみること!」
キエーロを考案した松本夫妻は、インタビューでこうお話ししています。
https://yamavico.com/magazine/tonari_baton/12matsumoto/入れるときには考えなくて良い。残るものは、ただ残るだけだから。やりながら「消えてる」っていう実感を得てもらうのが大事かなと思います。
難しくルールを考えずに、入れ物と土を用意してごみを入れてみる。
数日後にごみが消えている。という魔法をまず体験してみてほしいと思います。